少年 コノキ・ミクオ 展 ~此木三紅大・1950年代の油彩画など~

2020年3月6日~4月5日

 此木三紅大(コノキ・ミクオ)は近年、スクラップ鉄のアート、ガンダ彫刻を手掛ける芸術家として海外にも知られているところだが、もともとは、洋画家であり、美術のコレクターでもある。さらに、金子周次や、山縣章など、才能がありながら埋もれたまま亡くなった地元千葉県作家の顕彰を行なうなど、美術界で多彩な活動を続けている。

 1937年、東京の田端に生まれ、多感な少年期を、戦後の混乱と復興の真っ只中で過ごした。病弱な少年は、この時代に油絵の具という友を得て、思う存分に才能を発揮したのである。此木を形成する基礎は、十五歳の少年時代にあった。「自分の身体より大きな絵を描きなさい」と先生に指導され、貧乏とひ弱で勉強もしなかった少年が、工夫してキャンバスを作ったり、ベニヤ板に描いたり、絵の具の代わりにペンキを硬くして使ってみたりと、精一杯の努力をして、第一回読売アンデパンダン展、全国学生油絵コンクールなどに出品し、数々の受賞を果たしている。

驚いたことに、中学二年生の時、学校の後援で個展まで開いてしまったという。コノキ少年が没頭した絵の中には、少年の辿った足跡と共に、その後の生き方を暗示させる趣味、嗜好までが、表現されていて面白い。

 今回は自選による30点を展示いたします。時代が移り、満たされ過ぎて何かを失ったような今の時代、夢を持つこと、純粋にひたむきに生きること、その尊さを思い起こさせる作品を、是非多くの方にご覧いただきたいと思います。

◎併催:館所蔵デッサン名品展、日本の美:茶碗展 

  

     

  

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