山縣章 展 ー気高き魂のうたー

2022年3月4日~4月10日

  

 山縣章の作品に出会ったのは、成田空港に程近い富里のレストランであった。小さな水彩の風景画が3点ほど。心地よい素朴な良さを感じた。その絵に会うため何度か足を運ぶうちに、絵は、すでに他界された近隣の画家の作であると知り、ご家族に作品を見せていただくことになった。

アトリエは、期待にたがわぬ情感溢れる美しい絵で満たされている。ここには、無名の天才画家がいた。

このまま埋もれさせてはいけない、多くの人にこの情感を伝えたい。ひたすら描き、描くことの悦びに後半生を捧げた画家の絵は、何と豊かなことか。この格調の高さは作者の精神であろう。自然の風景の中にも、その人生を重ね、抒情深い。

 山縣章は、1917年(大正6年)宮崎県の生まれ。1972年(55才)頃から、水彩画を描き始めた。それまでの誠実で温かな人生であったであろう人柄が画面上に偲ばれる。日常の私たちが目にしている、何の変哲もない街角や、ガードレールや田舎家のたたずまいが、気高い魂によってより一層深いモチーフとして描かれている。

1994年、第53回創元展で文部大臣奨励賞を受賞、その年永眠。享年77歳であった。

 今回、水彩作品の中から選りすぐった大作と小品、約25点を展示いたします。ご高覧下さい。

  

      

        

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