明治期,内国勧業博覧会受賞作を中心に「時代蒔絵箏名品展」


2024年2月2日~4月7日

 箏は木製の胴に絹糸製の絃を張った楽器で、絃を指で弾いて奏でる琴(きん)の「こと」、柱(じ)を立てて爪を付けて奏でる箏(そう)の「こと」などがあります。現在では筝の字は常用漢字には無く、琴の字が当てられています。

 奈良時代に中国より日本にもたらされ、合奏楽器の一つとして雅楽に用いられた筝は、江戸時代に筝曲が作曲されて、盛んとなりました。

 筝は、全体を竜に見立て、各部に竜角、竜舌、竜眼、竜手、竜尾などの名がつけられています。胴は桐材で、各所を象牙や紫檀、花梨などの硬木で飾ります。また、磯といわれる側面の全体に、蒔絵や螺鈿を施した装飾筝を、本仕立てといいます。

 この度は辰(竜)の年に因んで、館所蔵の本仕立ての箏を一堂に展示いたします。

 江戸時代中期に、名人とうたわれた康光作の木目筝や、明治二十三年の内国勧業博覧会・第三回に於いての受賞作「中林傳兵衛作・唐子の図芝山象嵌蒔絵筝」「中林傳兵衛作・百花繚乱図芝山象嵌蒔絵箏」また、第五回の受賞作「岡部善七作・源氏香の図蒔絵筝」明治三十年代の「畑盛次作・松と四季の草花図蒔絵筝」ほか、波と千鳥の蒔絵筝など、公開の機会が少ないものを含め、十二面を展示いたします。職人の至極の技を施した筝は、まさに美の琴線にふれる感があります。

 優雅の極致・美しき筝の世界を是非ご覧くださいませ。

【併 催】 コノキ・ミクオのガンダ彫刻展

コノキ・ミクオは、洋画家としてその道をスタートしました。

美大を卒業後、イタリア・ローマに留学。帰国後、新進の若手画家たちと共に、より自由で活発な作家集団「青枢会」を創設。以来、生命賛歌を掲げて50余年に亘る活動を続けています。

アトリエを千葉県に移して40数年、地域の作家との交流や埋もれた作品に対する正当な位置付けなど、芸術的な独自の鑑賞洞察の眼をもって、自身の芸術創作の他にも幅広い活動を展開して来ました。

 その間、若き作家が誕生したかのように力強く、取り組んで来たのがガンダ彫刻です。ガンダとは、銚子近辺の方言で、鉄屑や使い古して捨てられた道具などのこと。役目を終えたとはいえ、その機能的な美しさ、力強さ、それぞれが持つ個性的な造形の確かな在り方に惹かれ、まさにガンダの呼びかけに導かれるように、物語を共に奏でるように制作してきました。鉄の端くれは、もはや鉄屑ではなく、息づくアート、ガンダ彫刻として生まれ変わりました。

公害やゴミ処理で悩む今、使い捨てから再利用へと時代は動いています。昔の百鬼夜行絵巻などにみる、捨てられた古道具の妖怪たちが見せる滑稽な戯画が現代人への警鐘ではなかったのか、と作家は言います。鋤(すき)や鍬(くわ)やスコップ、ツルハシ。道具の姿を少しとどめて、ガンダ彫刻は生命の賛歌を歌い続けています。

    

 

 

 

   

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