金子周次 木版画展
~没後40年、金子周次の全貌に迫る~
金子周次(1909年~1977年)は銚子市の老舗の履物店の四男として生まれ、小学校時代から絵の才能を発揮しました。
戦後の混乱期に、絵描きとして生きることを決意し、生涯独身で木版画・油絵・水彩画・書・てん刻などの制作三昧の生活に入りました。
周りの人々にはブタ小屋に住む貧しい絵描きと映ったようです。しかし、その作品は格調高く心豊かな郷土愛に満ち、純粋な人柄を彷彿とさせます。
木版画においては、先人の版画の亜流ではなく生涯をとおして試行錯誤を繰り返しながら創出したであろう金子独特の絵画的表現が見られます。
時代の移り変りとともに、自然も都市も、そこに住む人々も変っていきます。
しかし青い海や豊かな緑、銚子の良き風景が金子のひたすらな心を通し、いっそう美しいものとして残されています。
この金子の絵と心に触れたとき、それぞれの郷土が美しく在ることを願わざるを得ません。
漸く真の評価がなされようとしている没後40年、弊館で長年にわたり蒐集と顕彰に努めてきた作品をとおして金子周次の全貌に迫りたいと思います。
版画・油絵・水彩画・スケッチなど約150点を展示致します。