吉江正雄 コレクション展
~戦前戦後の日本美術から~
昨今、美術の世界ではサラリーマンコレクターが注目されてきました。
美術品は高嶺の花であり、庶民はそれをケース越しに鑑賞するのが常でしたが、金持ちでなくとも、生活の中で自分が美しいと感じるものに囲まれて暮らす生き方を実現しているのが、サラリーマンコレクターなのでしょう。
今回紹介するコレクター・吉江正雄氏(1944年、長野県生まれ)もその一人と言えます。東京で英文科の大学教授であった吉江氏が美術収集を始めたのは30代の前半で、「池袋モンパルナスの作家」から「夭折の画家」を中心に、自分の眼を信じて有名無名・ジャンルに捉われずに収集したその総数は300点を超えるといいます。
このたび弊館では、その中から戦前戦後に活躍した画家たちの絵画を中心に約120点を選抜し、一人のコレクターの独自の眼差しを明らかにするとともに、人から人へと時代を超えて受け継がれる美術品の見えない力を感じるよい機会になればと願っております。
数多い展示品の中で特に注目するのは、藤田嗣治の公益財団法人平野政吉美術財団所蔵「眠れる女」の下絵である「横たわる裸婦」と、長谷川利行の油彩画の絶筆と言われている「少女B」、その他古賀春江、靉光、瑛九などの作品等々は圧巻です。
是非ご高覧下さいませ。